第五回尾崎放哉賞 一般の部
尾崎放哉大賞
蝉時雨浴びて秘密基地の入り口
埼玉県
春陽堂賞
選ばなかった道が交わる
京都府
優秀賞
二年会えなかった父の薄いまぶた
愛知県
レモンどこまでころがる冬陽の片隅
福岡県
年ごとの色を重ね私の海が凪ぐ
福岡県
レシートを栞にして読み終えた
岡山県
旅の空何も決めず酔っている
神奈川県
入賞
仲間の居る方へ駆けだす落葉
埼玉県
星座になれぬ星も輝いて夜空できあがる
山口県
徘徊と散歩の境目を歩く私
山口県
いのち溜め更地いっぱいの露草
愛知県
曲線だけでできている笑っている女
福岡県
春が来たブランコかわってあげる
京都府
白木蓮そのままに音のない家族
茨城県
爆心地の卵割る音ひとつ
山口県
あの涙知る髪が切られた
静岡県
手話の降りつもり暖かな列車
静岡県
敢闘賞
雪の中で目覚めたよな祖母のまつ毛
東京都
※ 自由律俳句を未来に繋いで行きたいとの願いから、第五回より三十代までの作者の作品で一次選以上は通過したものの惜しくも次に進めなかった作品の中から期待を込めて代表より敢闘賞を差し上げることになりました。
第五回尾崎放哉賞 高校生の部
最優秀賞
ページをめくる音はしだいに雨と重なった
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
優秀賞
教室には卒業しないままの思い出
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
クレヨンでかいた青空のうそ
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
一人の教室から見る私だけの空
三重県立久居高等学校
今日の生き方、誰かのお古
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
逃げ出したくて 真夜中の月に相談する
東筑紫学園高等学校
すれ違う君から春になる
愛知県立旭丘高等学校
思いを投げ込む 切手の味が舌に残る
静岡県立静岡高等学校
黒い海に落ちていく片羽の飛べない蝶
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
俺達の仮に生きて行ける秋風
埼玉県立特別支援学校 坂戸ろう学園
あの日に飛んだくつはもうない
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
特別賞
前を向け俺数字にとらわれるな
沖縄県立那覇高等学校
扉の前光にてらされる父小さい
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
アヒルと柚子と私の混浴
埼玉県 星野高等学校
夜風が明日へと背中を押す
沖縄県立那覇高等学校
星になると言ったあなたは骨になった
群馬県立伊勢崎興陽高等学校
• 次の作品は同一受賞者による入賞対象作品。多くの方に受賞の機会を持っていただくために賞から外させていただきました。
過去のことを反射するガラスの破片
【第五回尾崎放哉賞 選者】
自由律俳句結社『青穂』役員:
- 小山 貴子
- 黒崎 溪水
- 吉多 紀彦
- 平山 礼子
- 高木 架京
- 平岡 久美子
- 三好 利幸