この度は最終選考で横並びに受賞の候補作が挙がりました。選者の推す作品が絞り切れず、何度も協議を重ねて受賞作品を決定いたしました。

優秀賞が少なめになってしまいましたが入賞者の上位に差がつけられず、やむを得ず入賞者を増やす形で決定いたしました。

第二回尾崎放哉賞 一般の部

尾崎放哉大賞

ひまわり咲いて疎遠の鍵を外す福岡県増田 眞寿子

優秀賞

海から飛びだして鯨の泳ぐ冬銀河山口県𠮷浦 百合子
初出勤の青空は四角 岐阜県野田 薫
めがね外して今日はおしまい 愛知県岸 零人

入賞

捨て小鉢の芽春が目覚める 兵庫県荻野 享
蝶止まる石の沈黙 山口県たむらのぶゆき
淋しさの根っこふる里に埋めてある 愛知県原 さつき
そこから何かがはじまる穴ひとつ掘る山口県久光 良一
小春を掬う木の匙を買いにいく 山口県市川 邦子
朧月なんか喋ろうか 東京都岩渕 幸弘
赤い靴買うここは反撃のまち 東京都小笠原 玉虫
光り輝くビルのどこにも用がない 山口県吉村 一音
遠い星空機関車つなぐ音 京都府草場 克彦
夕日を背にタンクローリーの憂鬱 愛知県伊藤 風々
背徳の昼下がり白桃かぶりつく 山口県田中 流転
猫が去って丸く陽だまり 埼玉県涼 月

第二回尾崎放哉賞 高校生の部

最優秀賞

君のチョコレートの歯形が春を告げている広島県立広島高等学校赤木 佑実

優秀賞

消しごむを落として始まる恋はなかった愛知県立尾北高等学校原野 有未
すりガラスごしの未来 清真学園高等学校才賀 尉江
君の体温を握りかえす 愛知県立幸田高等学校清水 直弥
彼の見つめる先の猫になりたい 早稲田大学本庄高等学院中村 優里花
青い空に透ける骨の折れたビニール傘 早稲田大学本庄高等学院川口 航揮
階段 転げ落ちる若さ 早稲田大学本庄高等学院石塚 紗耶
昨日の自分を越えるのにまっしぐら 徳島市立高等学校山本 芽衣
青空がさらに蒼く見えた今日 早稲田大学本庄高等学院菊地 梨緒
星へと続く坂道を歩む 早稲田大学本庄高等学院亀田 啓太

特別賞

黒猫と微妙に目が合わない清真学園高等学校荒沼 瑠奈
一番会いたい人は小さな画面の中にいる愛知県立尾北高等学校石黒 美月
澄んだ空が終わりを告げる早稲田大学本庄高等学院田中茉莉奈
かじかんだ手で炎を描く早稲田大学本庄高等学院小島悠太郎
冬の風に文句を言う生足校名なしあかりんご

【第二回尾崎放哉賞 選者】

自由律俳句結社『青穂』役員: